途上国にできる日本らしい貢献の可能性

 3月19日放送、カンブリア宮殿「10億人に安全な水を!ナニワ中小企業オヤジの挑戦:日本ポリグル会長 小田兼利さん」を視聴して考えた途上国にできる日本らしい貢献の可能性。

 日本ポリグルは、水質浄化剤の製造を行っている中小企業。水質浄化剤を活用し、バングラディッシュ等の途上国において安全な飲み水の普及活動に取り組んでいる。更に、現地の女性による販売ネットワークを構築中であると言う。

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 映像を見たけど、現地の汚染された川水に浄化剤を入れて攪拌すると、汚物が沈殿し、綺麗な飲料水が簡単に採取できる。大がかりな設備も不要で人間にとって必要不可欠な水資源を安価に提供することができる。

 小田会長が番組で話していたことで印象に残ったのは

  1.  社会貢献、人道ボランティアというワードに違和感を持つ。ボランティアの切り口では、この仕事は継続しなかっただろう。大事なのは、必ずビジネスにすること。無料で水資源を手に入ると考えないで欲しい。現地の方が手に届く範囲の妥当な価格でビジネスを行うことで、現地と自分達もメリットを享受できWINーWINの永続的な関係と信頼が構築される
  2. 日本にもグローバル企業はあるがもう一度考えてもらいたいことは、「本当の日本、日本人の武器は何なのか?」それは、ある種の“思いやり”“道徳心”が強いこと。この優しさを基礎にして途上国などで取り組めば、必ず日本は途上国の人達に貢献でき、世界中の尊敬を得ることができる。

 よくある物言いに「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える必要がある」。物ではなく、方法を教えることが対象者の自律を促すということなのだろう。でも、小野さんの途上国の人々へ貢献信念は、もう一段深度が深いと感じた。

 なぜなら、施しの対象として現地の方を見るのではなく、同じ対等の人間として接しており、ボランティアによる提供は、施しを受ける人間の自尊心を踏みにじることになると考えているのだろう*1

 人間の自尊心を育む1番のことは、仕事で稼いで生活すること!に尽きると思う。小野さんが持ち込んだ水質浄化剤を起点にして、現地の方による販売ネットワークができ、簡易浄化水槽を設置した村の周囲に商店街が立ち現れていた。販売も商店も現地の人に雇用を生み出している。人間の尊厳を屹立させることと同義だ。

 技術だけなら、日本だけではなく、欧米先進国も保有している。なにも日本の専売特許ではない。でも、小野さんの様な途上国の人達の自尊心に想いを馳せるイマジネーションは、日本の、日本人の武器である“思いやり”“道徳心”を苗床にしているのだろう。技術と思いやりの心の両輪で日本らしい貢献の可能性が大きく拓けていると感じたました。

 

*1:ちなみに、本当に生死の境にあるとか、紛争等で生命の危機にあるとかの場合は、速やかに無償提供していくのは人道的に当たり前なので、ここではそのケースでの記載をしてません